関係節

このような文の構造について学びます。 I saw the person I thought was dead.
You are so nict to come home to.
You are to blame.
This is what little money is left of what I have earned.

目次
  1. 【関係節の作り方】
  2. 【退行する関係節に対する考え方】
  3. 【文の意味を誤解する言語の専門家】
  4. 【関係代名詞の機能 - それに続く部分が修飾語であることを示す記 号としての機能】
  5. 【関係節は連体修飾節である】
  6. 【関係節と同等の機能を持つもの - "to + 不定詞”、”過去分詞"】
  7. 【what/who/whatever/whichever】
  8. 【"what"と"something"の違い】
  9. 【"what"と"whatever"の違い】
  10. 【形容詞の "what"と "whatever"】
  11. 【関係副詞節】
  12. 【関係副詞節と関係代名詞節との関係】
  13. 【the place =where という認識の成立過程】
  14. 【"when" ="time" 】
  15. 【"why"="reason"】
  16. 【 how = as = way】
  17. 【重ね合わせ・省略の法則】

  1. 【関係節の作り方】

    I saw the person I thought was dead.

    形容詞の定義に従えば、次の下線部分は形容詞となります。

    I thought the man was dead.

    下線部分は"I thought was dead"は "the man"という名詞を説明しているからです。 形容詞が名詞を修飾する方法には、修飾用法とその反対の非修飾用法がありましたが、上の例は、修飾用法でないことは明らかです。では、"I thought was dead"という形容詞を使って、"the man" という名詞を修飾するには、どうすればよいのでしょうか? それは簡単で、「名詞を修飾する場合は、名詞の後に形容詞を置く」という原則を適用すればよいのです。従って、"I thought the man was dead."という "the man"という名詞に関す る非修飾用法に対応する修飾用法は," the mam I thought was dead "となり下線部分が形容詞となります。

    理論的に言えば複雑そうですが、非修飾用法(=文)からそれに対応する修飾用法を 作る方法は、全く機械的で簡単です。つまり、I thought the man was dead. における"the man"を先頭に移動した形が the man I thought was dead なのです。この操作はあまりにも簡単であるため、英米の文法書には記載されていませんし、おそらく I thought the man was dead. と the man I thought was dead は無意識に区別しているだけで 、その違いをはっきり説明できる英米人はあまりいないのではないかと思われます。それほど彼らにとっては文法の法則というほどのことではないのです。英米人以外の人も、"the man I thought was dead" は "I thought the man was dead."から作ら れることくらいはすぐ察しがつくことなので、この操作を当然のように受け入れているのです。ところが、日本では、I saw the man I thought was dead .ような文に出会うと、「先行詞 "the man"が主格であるのに、なぜ関係代名詞 "who"が省略されているのだろうか?」などという疑問をもって扱い、挙げ句の果ては、「正しくは I saw the man who, I thought, was dead.である。」等と英米人が頻繁に使うこの用法があたかも文法的誤り であるかのような説明をしているのです。
    ここで、この非常に簡単な操作の練習をしておきましょう。下線部分の名詞に関する修飾用法を作ってみましょう。

    そしてこのようにして作られた関係節によって修飾されている名詞は、文のあらゆる部分として使われるのです。
    例えば”the chair he was sitting on" は The chair he was sitting on was taken away.のように主語として、
    また、Do you remember the chair he was sitting on ?のように目的語として、
    またDo not sit on the chair he was sitting on? のように前置詞 "on"の目的 語として使うことができるのです。
    特に、実際の会話などでは、"What chair are you talking about?" "The chair he was sitting on." などという名詞だけで使われる場合が非常に多いのです。(但し、上で述 べたように「教養のない」英米人は、"the chair he was sitting on" を一人前の文と思っているようです。)
    とにかく、"the chair he was sitting on"を見て "He was sitting on the chair."という文との関連性に全く気づかない、ゼロの観察力と勘の悪さには驚くばかりです。

  2. 【退行する関係節に対する考え方】

    日本では「進歩的な」英語指導者のなかには、関係代名詞が含まれている文を説明する場合に、「〜スルトコロォーノなどと訳さずに、2つの文に分けて考えなさい。」などと、関係節の起源に立ち返ったような説明をしているのをよく聞きますが、このような考え方は関係節の機能を全く無視した説明であり、「〜スルトコロォーノ」的な理解の方がはるかにましです。「私が読んでいるトコロォーノ本」という現代では不自然な日本語を「私が読んでいる本」というように自然な日本語にしさえすればよいのです。ところが「進歩的な」指導者達は「本、そして私はそれを読んでいる」というような英語の発達の過程を逆行するような理解の仕方を「頭から訳す」等と言って広めようとしているのです。「重ね合せ・省略の法則」により関係節は2つの文が重ね合わされてできたことは恐らく事実でしょうが、重要な部分はは2つの文のうちの1つが、たまたまその前に置かれていた名詞を修飾している形容詞にに見え始め、元の代名詞としての機能や性質に代わり、新しい機能、性質を持った、関係代名詞や関係節が誕生したことなのです。

    成立過程の例をあげておきます。

    上の(1)〜(4)は2つの文ですが、(5)は1つの文なのです。この1つの文になったという ことが、関係節の関係節たるゆえんであり、(4)から(5)への移行が質的な変化なので す。英語の構造を説明する際、起源に立ち返って分析することが必要な場合は決して少なくはありませんが、関係節は、英語のなかでも非常に発達した構造であるため、その起源に戻って分析するということはほとんど意味のないことなのです。人間がアメーバから進化してきたことが真実であっても、人間の行動をアメーバを分析することによって説明できる場合は極めて少ないのです。人間を説明するのに、アメーバを説明するので十分だとすれば、人間はアメーバから大きく進化していないことになります。人間にアメーバ的な要素があることは確かだとしても、それで人間を説明したことにはならないのです。つまり、あるものが十分発達すれば、その起源時に存在していた法則や性質は、新しい法則や性質によって取って代られるのです。関係代名詞も元はは代名詞でしたが、十分発達したため、代名詞としての機能や性質はほとんど無くなって関係代名詞となってしま っているのです。元の法則や 性質が新しいものによって取って代られることを「発達」 とか「変化」というのです。ダーウィンの「進化論」を知って、人間は弱肉強食の動物から進化してきたのだから、人間社会も弱肉強食の社会であるべきだと主張した人達なども、この「進化」という言葉の意味をあまり考えていなかったのでしょう。ただし、この単純な話が理解できない人達が今尚存在する事実などは、人間の起源は単細胞生物のアメーバであったということで説明できるかも知れません。

    この説明のついでに、現代の英米人の関係節に対する意識の成立過程も説明しておき ます。上の成立過程の (2) では "the man"=>"him" という変換を行なっていますが、 その代わりに、次のような、重ね合わせ・省略も考えられます。


    (5)と(4)'の比較すれば、"whom"は不必要なもののように見えてくるし、(4)'の "the man you were talking about" という部分は、明らかに "You were talking about the man."という文の中の名詞 "the man"を先頭に放り出した形であるということが分って以来、英米人の関係節に対する意識はここで説明しているようなものになったのだと考えら れます。

  3. 【文の意味を誤解する言語の専門家】

    ここで、注意しておきますが、日本の英文法家が得意になっている「先行詞が主格の場合は関係代名詞を省略することはできない。」という規則などはどこにも存在しません。恐らく、この人達は言葉の専門家を自称するにもかかわらず、次の2つの全く意味の異なる文の区別がつかないらしのです。


    2番目の文が正しくないということは、そうでない実例が無数に存在するということで十分証明されているはずなのですが、日本では、He looked like the man I thought was dead. のような文は「例外」とか「文法的に正しくない」等といってその存在すら否定さ れてしまっているのです。その結果、英米人がこの構文を使うということは渋々認めるのが精一杯で、自ら積極的に使うことのできる人は非常に少なくなるのです。私のようにオタク的に理論化までする必要などはありませんが、英米人が使う表現に対して否定的な態度をとる日本人というのは一体何なのでしょうか?
      上の2つの記述が同一の内容を表していないということが分からない人のために、もう少し分かりやすい記述の例を2つ挙げておきます。


    (注意) 上の例ではBの文それ自体が正しくないという意味ではなく、Aの文が正しいからといって、Bの正しさは決して保証されないという意味です。

    このような全く意味の異なる2種類の記述の区別さえできないのが、残念ながら、日 本の英語関係者のレベルであり、そればかりでなく、彼らはこのような区別には全く無頓着なのです。

  4. 【関係代名詞の機能 - それに続く部分が修飾語であることを示す記号としての機能】

    関係代名詞起源時の代名詞的な性質や機能が失われて、新しい機能や性質を持つよう になったために、"which", "who", "that" などが単なる代名詞ではなく、それとは 異なる「関係代名詞」として扱う必要性がでてきていることを忘れてはなりません。つまり、関係代名詞は代名詞としての機能や性質をほとんど失いつつあるのです。では、関係代名詞はどのような機能をもっているのでしょうか?

    ここで、関係代名詞が必要な場合とはどのような場合であるかということを調べてみ ましょう。


    上の文に含まれている名詞 "the man"に注目したとすると。"the man"以外の部分 "worked with me"は形容詞の定義により、名詞"the man"に関する形容詞であるということがで きます。そして、この形容詞は修飾用法としては使われていません。つまり、非修飾 用法として使われています。
    では、この形容詞を修飾用法として用いると、どうなるかと言えば、修飾する場合の大原則である「名詞+形容詞」という語順に従えば、次のようになります。

    ところが、「その人は私と一緒に働いている。」という意味の非修飾用法である (A) と「私と一緒に働いている人」という意味であるはずの修飾用法である (B)の間には形態的な区別が無くなってしまっています。明らかに形態上の違いのあった He was sitting on the chair. と the chair he was sitting on の場合と比較してください。では修飾用法と非修飾用法との区別はどのようにして行なわれているのでしょうか?この区別の手段として最も多く使われているのが、関係代名詞です、上の(B)をthe man who worked with me にすれば、十分 (A)との形態上の区別がつくので す。学校文法などでは 、「関係代名詞は接続詞であり、かつ代名詞である。」などと何の役にも立たないピント外れなことを言っているようですが、これは関係代名詞の起源について説明しているだけで、現代の英語における関係代名詞の機能については何も語ってはいないのです。
    ここで関係代名詞が必要な場合は、非修飾用法における名詞の位置が既に先頭にある場合であることが分かります。すなわち通常の文において先頭に位置する名詞は主格であるということです。従って、「関係代名詞が必要な場合の先行詞は主格である。」という観察結果の報告のような記述を、全く意味の異なる「先行詞が主格の場合は関係代名詞が必要である。」という法則を勝手に作ってしまい、それに該当しない例が無数に存在するにもかかわらず、それを「例外」「文法的誤り」等という言葉で片付けてしまっているのが日本の英語関係者のほとんどなのです。

    関係節の原理は非常に簡単です。一つの文において、ある名詞に注目すれば、 その文の残りの部分がその名詞に関する形容詞となるのです。あれほど機械的に物事を処理したがる日本人がなぜこのような機械的な操作に馴染もうとしない理由がよく分かりません。
    この機械的な操作はあまりにも簡単なために、英米では全く問題になりませんし、彼ら自身でこのことが非修飾用法から修飾用法に変換している操作であるなどということすら全く意識していないようです。(だから、この日本人が知らない、他の国の人ならば誰でも気付くこの大原理が英米の文法書で扱われない!)彼らが関係節に関して意識をし始めるのは、the article you are reading のように通常は関係代名詞を使わなくとも You are reading the article.という 非修飾用法とは十分に形態上の区別がついている場合で、それが修飾用法であるということをさらに明確にするために関係代名詞を使う場合です。普段はこのような場合は関係代名詞を使わないため、英米でもどの関係代名詞を使ってよいのか分からない人が(非常に少数ですが)存在するのです。だから、文法でどのような場合にはどの関係代名詞を使えばよいのかという問題が取り上げられているのです。日本における関係代名詞の学習はこの英米における「次の括弧の中に適当な関係代名詞を入れよ」式の練習問題に終始し、結局、英米人が学ぶ必要のないくらい基本的な操作や関係節の役割については何も知らないままで終わってしまっているのです。このような練習は、日本語における助詞の問題とよく似ています。普段は「私面白い本読んでいる。」と言っている人が、正式な日本語で「私面白い本読んでいる。」と言い換える場合、「は」、「を」等の助詞の用法で多少迷うことがあるのと同じことです。「てにをは」が大切だということの意味は「日本人でも間違う程難しい。」ということであり、「美しい日本語」という観点から言えば、助詞の用法は大切かも知れませんが、実際使われている日本語、自然な日本語、コミュニケーションの手段としての日本語という観点に立てば、助詞などは副次的、装飾的な役割しか果たしていないのです。「は」や「が」等は普段はあまり使わないにもかかわらず、相も変らず「は」と「が」の違いについての議論が常にどこかで続いている理由は「本質的に重要でないという匂いを嗅ぎ付けると、俄然興味を持ち始める」国民性なのでしょう。何十年もかけて考えるほど、難しい問題でもないし、分かったところで、所詮、自然な日本語にはあまり使われない「助詞」の問題が一つ解決したに過ぎないのです。

    日本語と英語の違いは、英語においては関係代名詞を使わない場合も正式な英語とし て扱われるのに対し、助詞を使わない日本語は大多数の日本人によって使われているにもかかわらず正式な日本語として扱われていないということです。二葉亭四迷が手掛けた仕事が100年経ってもまだ完結していないのか、それとも、また例の文化の違いなのでしょうか。

  5. 【関係節は連体修飾節である】

    "the man I work with" と「私と一緒に働く人」というそれに対応する日本語を比較すれば即座に分かることは "I work with" という英語の関係節が「私と一緒に働く人」 という日本語の連体修飾節に対応しているということです。私の知る限り、「連 体修飾節」という言葉を使っている英文法の参考書は存在しないようです。このことは、いかに、日本の英文法の書物が英米の文法参考書をただそのまま訳しただけのコピーのようなものであるかということを示しています。「日本人の目から見た英語」という視点が完全に欠落しているため、日本語との厳しい論理を伴った構造的対比を怠り、いつまで経っても、英米における問題点をあたかも日本における問題点のように扱って満足しているのです 英米における問題点(例えば、I don't know nothing." のような "Double negative"や "to not do it"のような"Split infinitive")は、日本における問題点ではないのです。外国語を学ぶ目的があるとするならば、その一つに母国語をより相対化、客観化してとらえることができるため、母国語をより深く理解できるようになるのです。関係節をみて日本語の「連体修飾節」が思い浮かばないほうが不思議です。そして、次項で説明するように、関係節に関して、日本人学習者が心得ていなければならないことがこの他にもあります。

  6. 【関係節と同等の機能を持つもの - "to + 不定詞”、”過去分詞"】

    You are so nice to come home to.
    You are to blame.

    関係節は名詞を修飾するものですから、その機能はと言えば「形容詞」としての機能 ということになります。実は関係節以外のものを使って、ほぼ同じ内容を表すことができるものが2つあります。それは、「to-不定詞の形容詞的用法」と「過去分詞の修飾用法 」です。

    1. to + 不定詞の形容詞的用法

      理由は、ここでは説明しませんが、次の変換が存在することを理解しておいでくださ い。
         We write letters with the pen. --- "the pen"に関する非修飾用法-
         the pen we write letters with -----修飾用法
         the pen for us to write letters with ---to+不定詞の形容詞的用法
         the pen to write letters with -----意味上の主語省略可
         the pen for writing letters with ---動名詞への変換

      この原理によるよく使われている表現の例を挙げておきましょう。

            
      1. That's for you to do.
            
      2. You are so nice to come home to.(ある曲の曲名)
            
      3. You are to blame.

      1) That's for you to do.

      次の変形を見て理解してください。

         That is something you should do---(1) 関係節
         That is something for you to do.--(2) to+不定詞の形容詞的用法
         That is for you to do. -----------(3) 名詞(something)の脱落

      (注意)(2)=>(3)における「名詞の脱落」とは次のような関係を指しています。

      He is a rich man. => He is rich. (a man という名詞の脱落)
      The book is a book on the desk.=> The book is on the desk.(a bookという名詞の脱 落)
      The problem is a problem with the machine.=> The problem is with the machine.(a problem という名詞が脱落)

      2) You are so nice to come home to.

      ある日本の有名な作家もこの文の意味を取り違えているようですが(You are so nice to come home.と混同していました)、次の変形を見て理解してください。

        I will come home to a nice person. ----"a nice person"という名詞に関する 非修飾用法
        a nice person I will come home to ---- 修飾用法
        a nice person for me to come home to --- to + 不定詞の形容詞的用法
        a nice person to come home to --------- 意味上の主語省略
        You are so nice a person to come home to ---- 形容詞を主格補語として使う
        You are so nice to come home to. ----- 名詞の脱落
               

      村上春樹氏はビートルズの曲名などに日本語訳を与えていましたが、この曲のタイト ルとYou are nice to come home. との区別がついていなかったようです。You are so nice to come home.は You are so noce. という文と You are to come home.という文の「重ね合わせ・省略」の結果で, "come home" の主語は "you" であり、「家に帰ってきて くれるなんて、何とあなたはいい人なんでしょう。」という意味で、この文の使い手は家で待っている人ということになるのですが、You are so nice come home to. の場合はこの変形によって明らかなように "come home"の主語は省略されている "I" であり、この 文の使い手は家の外にいて、家で待っている"you"のことを描写しているのです。この作 家も恐らく文末の "to"が気になっていたこととは思いますが、「"to"を付け足したこと でどのようにニュアンスが変わったのだろうか?」程度の疑問を持ったくらいだったのでしょう。まさか、意味が全く反対であるということまでは思いもよらなかったのだと思います。(でも、歌詞を聞けば、それくらいのことは分かるはずなのですが...思った程も彼は brilliantではなかったようです。)

      そう言えばビートルスの "Stroberry Field's forever .... " とかいう歌の中で、".. nothing to write home about" という英語の慣用句が使われている部分がありました が、これも, "I write home about something." の "something" という名詞に注目し、 これに対応する修飾用法である "something I write home about" の関係節の部分であ る"I write home about" を機械的に to + 不定詞の形容詞的用法にしたものです 。この構造は次のような文にも見られますが、括弧の中の文とは全く意味が異なることを確認してください。

      You are so nice to work here with. (You are so nice to work here.)

      3) You are to blame.
      この文の "to blame" が日本の英文法では「受身の意味をもつ不定詞」などという訳の分からぬカテゴリーに分類されてしまっているようですが、これも次の変形を見れば、上の1), 2) の例と同じ to+不定詞の形容詞的用法であることは明らかです。

        They blame a person.--- "a person"に関する非修飾用法
          a person they blame --- 修飾用法
          a person for them to blame -- to+不定詞の形容詞的用法
        a person to blame -- 意味上の主語省略
        You are a person to blame. --- 主格補語として
        You are to blame. --- 名詞の脱落

      学校文法では、You are to blame. の自然な日本語訳(いわゆる「意訳」)である「 あなたは責められるべきだ。」と、この英語を比較してしまい、「られる」とい う受身(あくまでも日本語における「受身」のことですが)が "to+不定詞」という構造 に起因するものであるという「高級な」結論に達しているのです。これは、低俗な英文法の参考書で「注意すべき受動態」などのタイトルのもとに、「彼は妻に逃げられた」という日本語の受身の文が英語では受身で表現されない場合がある(例えば、His wife walked out on him.)ということについて注意しているのと同じです。日本語の意訳を 基にして、英文を分析するほど非科学的方法はありません。国際的に通用しない論理を使わないようにしましょう。"There is nothing to do."に全く受身の意味がないように、"You are to blame." には受身の意味など全くありません。
      このような注意事項が文法書に掲載されている理由は次の通りです。

      They blame a person. を受動態に変換した文である A person is blamed. を基にして, You are to be blamed. という言い方も理論的には存在してもよいはずなのですが、この場合は、どういうわけか You are to blame.の方がよく使われるという 理由で、学習者に注意しているのです。一般的に文法書に掲載される事項は「どういうわけか」という場合、つまり、理由を説明することができないとか、理由が忘れ去られてしまっている場合で、かつ例外的なものがほとんどです。日本語のひらがなを学習する場合、「わたしわ」ではなく「わたしは」と表記する本当の理由はよく分からないため、小学校の国語ではそれに関する注意を行っているのと同じ理屈です。You are to blame. の場合は,それに対応する受動態である You are to be blamed.はあまり使われませんが、次のよ うに両方とも使われている場合の方が圧倒的に多いのです。

      There is nothing to do.
      There is nothing to be done.

      なお、"to be done" のような to+不定詞については 「 不定詞」の項を参照してください。

       
    2. 過去分詞の修飾用法

      We discuss the subject with other members.という文の中の "the subject" とい う名詞に注目したとき、この名詞を説明している形容詞は, "we discuss with other members" の他に、「過去分詞」の項で説明しているように、"discussed with other members" も存在します。つまり、

       the subject we discuss with other members
      = the subject discussed with other members" という関係があります。

      この両者の使い分けはあまりありませんが、強いて言えば、関係節を使う場合は主語(上の例では "we")を省略したくない場合で、やや口語的であるのに対し、過去分詞の場合 はやや文語的でフォーマルな感じで、主語を明確にしたくない場合によく使われるようです。

    以上、関係節は「to+不定詞の形容詞的用法」や「過去分詞の修飾用法」に変換できる場合が多いということを意識することも、日本人が関係節に対応するときに必要な知識です。「先行詞が人の場合は "who", 物の場合は "which"」などということを覚えても関係節を理解したことには全くならないのです。

  7. 【what/who/whatever/whichever】

    学校文法では "what" 等を「先行詞を含む関係代名詞、つまり "what = that which" 」などという教え方をしていますが、This is what I want to do. という文を This is that which I want to do.などという人が存在するのでしょうか?よほどの教養 を見せびらかしたがる人でない限り、そのような文を使う人はいません。"what" という 語は、英語を習いはじめたころに覚えた、What is this? と同じものなのです。とかく、語学を研究する人達は「1つの単語に多くの意味があることを発見し、それを全て覚えること」が語学の研究(学習)と思い込んでいる場合が多いようですが、このような態度は多の学問分野では、考えられないことです。他の分野では、見かけは異なった多くの事象をできるだけ少ない法則で解明しようとする努力がなされているのに対し、語学の場合は、できるだけ多くの法則を見つけようとする努力がなされているようです。従って、「what には疑問詞、先行詞を含む関係代名詞、関係形容詞、....がある。」ということを覚 えることが知識のレベルを高めることと思い込んでしまっているのです。しかし、本当に知的好奇心をそそるのは「なぜ、このような様々な機能が単一の語によってまかなわれているのだろうか?」ということです。つまり、疑問詞の "what" と先行詞を含む関係代名詞の "what" の間にはどのような関係があるのだろうかということを考えるほうが知的にはレベルが高いはずです。それは、植物採集をして、採集した植物の名前を全部覚えることより、それらの植物がどのように関連しているのかということを考えるほうがレベルが高いというのと同じです。
    "what" に関しては、「先行詞を含む関係代名詞」の"what" も「疑問詞」の "what" も全く同じ物であるという関係があると思った方がよさそうです。
    英語には次のような、同じような状況で、ほとんど同じ意味によく使われる次のような2つの決まり文句があります。

        
    I"ll tell you what.
        
    I"ll tell you something.

    敢えて "what" と "something" には下線を施しませんでしたが、この2つの文を並 べて、"what"="something" であるということに気が付かない人は、余程勘が悪いとしか 言いようがありません。また、日本の中学校では [what =「何」], [something =「何か」]と教えているにもかかわらず, what = something であることに気が付く人がいないのはどうしたことなのでしょうか? 民族の性格というのは一つの敗戦くらいでは簡単に変わらないということなのでしょうか。まあ、それはさておいて、"what"="something"なのです。従って、 "what I want you to understand" = "something I want you to understand" であり、決して、英文法書の説明のように "that which I want you to understand" ではないのです。

     
  8. 【"what"と"something"の違い】

    もちろん、"something" と "what" の間には少しの用法上の違いがあります。それは 、次の例に示すように、修飾用法と非修飾用法の形態上の区別がつかない場合でも "what" の場合はそのままにしておかなければならないのに対し、"something" は関係代名詞が使用できるということです。
    "something will happen" という修飾用法は存在しないで、修飾用法であることを示す場合は、必ずsomething that will happenのように関係代名詞を必要とします。
    それに対して"what will happen"が修飾用法であるか非修飾用法であるかは、それ自体では判断できません。
    この理由は、関係節の起源に関係することですが(関係節を論じる際に、その起源を考慮に入れなければならない数少ない例!)、説明は別の機会に譲ります。

    "who"、"whatever", "whoever"なども用法は "what"に準じます。

  9. 【"what"と"whatever"の違い】

    この2つの語の違いは "what"="something", "whatever" = "anything" という関係から明らかです。但し、You do anything. I like you. の強調形である、Anything you do, I like you. (口語ではOK)と同じ意味の Whatever you do, I like you.では "Whatever you do" という部分が副詞節として使われるのに対し、What you do, I like you. のように "What you do" が副詞節として使われることはありません。

     
  10. 【形容詞の "what"と "whatever"】

    This is what little money is left of what I have earned.

    "what" = "something" という場合は、"what" は名詞でしたが、What time is it? What color is your sweater? 等などの "what" は "time"や"color"という名詞を修飾し ており、形容詞の定義に従えば、"what"は形容詞ということになります。つまり,"what" という名詞の形容詞形は "what" ということになります。また、名詞の"what"="something"ですから、形容詞の"what"の意味は "something"から名詞的要素、すなわち "thing" を取り去った形である "some"ということになります。
    この形容詞の"what"="some" という見方が適用されている文で有名なものが、"what little money is left with me" (=無け無しの残っているお金)という表現です。

    次の変形を見てください。

    "a" = "some" = "what" という同義語に注意してください。このような "what" を使えば関係代名詞(この場合は "that")が不要になります。このような "what"="some" の意味の形容詞を、関係形容詞と呼んでいます。そして、当然 "whatever"という名詞の形容 詞形は "whatever"であり、その意味は ="any" となります。

     
  11. 【関係副詞節】

    上のような重ね合わせにおいて、(3)=>(4) において質的変化が起こっています。つまり 、(1)〜(3) までは2つの文であるのに対して、(4)の場合は "where she was born"という部分が "the city" という名詞を修飾している形容詞節に見え始めたことで、関係副詞節が成立します。このときの "where" を関係副詞と呼んでいます。

  12. 【関係副詞節と関係代名詞節との関係】

    He lives in the city where she was born.と全く同じ内容は、次のような関係代名 詞節(関係代名詞は使われていませんが)で表すことができます。

    He lives in the city she was born in.(下線部分が関係代名詞節)

    関係代名詞を使った文は、次のような重ね合わせから生まれます。

  13. 【the place =where という認識の成立過程】

    This photo is a photo of my father.という文は、名詞 "a photo" が省略され、形 容詞"of my father"が残った形態の This photo is of my father. になる現象を「名詞 の脱落」と呼んでいましたが、この現象が頻繁に起こる名詞に関しては、次のような現象が引き続いて起こります。

    次の下線部分の3つのパターンを見てください。

    この3つのパターンのうち、"a place where....."が最もよく使われることは、"place"という名詞が、"city", "locality" などに比べて、より一般的であることから明らかです。そして、"a place" のほうが "a locality"よりも省略しやすい(省略しても情報が欠 如する確率が低い)ということから分かるように、より一般的な名詞であるほど、省略しやすくなります。つまり、この場合からは " place where ....."は "where"に省略しても差し支えないという認識が生まれてきます。
    これと同じ認識は次の重ね合わせ省略からも生まれます。

    He lives in the place.と
    In the place she was born を重ね合わせ、重複する "in the place" を1つ省略すると
    He lives in the place she was born. ---- (1) が生まれます。

    一方、上の2つの文と同じ内容を、次の2つの文で表すことができます。この2つの文を重ね合わせ、重複する "there"を1つ省略し、"there" を "where" に変えます。

    He lives there.
    There she was born.

    He lives where she was born. ------ (2)
    (1) と (2) は同じ意味であるはずですから、比較によって "in the place" = "where" という関係が認識されます。

    This is the place where I was born.から "the place" を省略してできた文である This is where I was born. の本来形容詞であるはずの下線部分が名詞に見え始めることによって、"where ....."と いう名詞節が生まれます。この名詞節の誕生によって、これがWhere he was found was not something she was interested in. のように主語として使われたり、Do you know where I was born. のように、目的語として使えるようになります。
    形容詞としての "where" が名詞に変わったということは、"where"= "in the place" が "where =the place" に変わったということを意味します。

    まとめてみましょう。

    法則:
      "the place where ...."は "where ..... " にすることができる。 --- (A)
    "where" = "in the place" (形容詞の "where")----------------------- (B)
    "where" = "the place" (名詞の "where") ------------------------- (C)
    そして、(A)と(C) から "the place where" ="where" = "the place" -- (D)
        

    という関係が現代の英語で使われています。注意しておきたいのは "where" は形容詞節、または名詞節を導くということ、名詞節を導く場合の "where" は "the place" で 置き換えることができるということです。理論的に言えば、形容詞節の導く where" も"the place" で置き換えてもよいはずなのですが、正式な英語ではまだそのような "the place" は使われていないようです。

    以上が関係副詞に関する理論ですが、実用的には次の変形を理解しておいてください。

    1. She was born in the place. ---- "the place" に関する非修飾用法
    2. the place she was born in ---- 関係代名詞節による修飾
    3. the place in which she was born -- 関係代名詞の使用
    4. the place where she was born --- "in which" => "where"
    5. the place she was born -- "where" の省略
    6. where she was born ----- "the place" の省略

    この場合は、5. "the place she was born" が名詞としてのみ、 6. "where she was born" が名詞、形容詞のどれにもなることができます。

    以上で "where", "place" に関する関係副詞節について説明しましたが、その他の関 係副詞についても原理は同じですが、実際に使用されている用法の種類が少しずつ異なっています。

  14. 【"when" ="time" 】

    この関係副詞は "where" とよく似ていますが、"where" の場合は"the place" の形容詞的用法がないのに対し、"the time" は形容詞としても名詞としても使うことができま す。

  15. 【"why"="reason"】

    この関係副詞の場合は、"why" の形容詞的用法がないことと、"the reason" の形容詞的用法がないことです。従って、次のような内容を表す文は1種類しか存在しません。


  16. 【 how = as = way】

    この関係副詞の特徴は "the way" は名詞としても 形容詞としても使えるのですが、 名詞として使う "the way" は "how" に、形容詞として使う "the way" は "as" に置 き換わります。


  17. 【重ね合わせ・省略の法則】

    これまでも説明してきたように、現代使われている構文は「重ね合わせ・省略の法則 」の結果発生したものです。
    関係節は冒頭でも述べたように、起源について云々すると、却って関係節の本質が分からなくなるという場合が非常に多いのですが、関係副詞節に関して表れている「重ね合わせ・省略の法則」をここで紹介しておきます。

    例えば、 He doesn't know where to start. という文は、
    He doesn't know + Where he is to start. の重ね合わせで、重複している "he" と意 味が希薄な "is" が省略された結果dきた文です。
    この文は、"when" ="the place" ですから、He doesn't know the place to start とい うこともできます。他の関係副詞についても、同じで、 "when to start" = "the time to start"," how to start"= "the way to start", "the reason to start" 等がありま す。("why to start" はあまり見かけません) 学校文法では、"how to ..." だけを取り 上げているようですが。。。。

    以上、関係節の解説でした。 "whose" については説明しませんでしたが、要するに関係節は関係代名詞節であろうと、関係副詞節であろうと、先行詞である名詞を修飾する形容詞であること、そして、関係副詞節の場合は先行詞の名詞が省略された結果、残された形容詞節が、名詞節として扱われ始めたことによって、種々の関係が生まれてきたという、英語の発展の歴史を実際辿ることなく、その発展の経過が見えてくるような、英語における「古代の大遺跡」のようなものでした。


    ページ先頭に戻る

    「関係節の拡張」